開業後に必要な患者数はどのくらい?医院経営の成功を左右する来院患者数について解説! | 医院開業バンク

コラム

2023.10.06

開業後に必要な患者数はどのくらい?医院経営の成功を左右する来院患者数について解説!

医院経営を成り立たせるために必要な患者数は?気になる方も多いと思います。そのカギを握るのが「診療圏調査」です。当社では開業をお考えの医師に向けて診療圏調査を無料で実施。併せて医院開業を熟知したコンサルタントが先生の開業への思いや目的を実際に「コンセプト」にするところから、物件探し、手続き支援など、トータルでサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

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開業後に必要な患者数とは?

クリニック開業/閉院のための総合情報プラットフォーム「医院開業バンク」編集部です。

医院の開業を目指している医師の中には、開業後、1日当たりどのくらいの患者を診療すれば医院の経営を安定させられるかどうか、知りたい人も多いのではないでしょうか。

診療科によって大きく異なりますが、1日の平均外来患者数は、一般的な医院の場合、「40人」が一つの目安となります。しかし、立地が良くない場合や集患のための広告活動ができていない場合、思ったように患者が増えないこともあります。

ここでは、患者数と収入の関係、一般的な医院の1日の外来患者数、患者数が増えない原因と対策について解説します。

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開業後の患者数で経営状況が変わる

医院を開業し、経営していくためには、来院する患者数が非常に重要となります。開業後の患者数は、医院の経営状況だけではなく、開業医の年収や将来に向けての貯蓄に大きく影響します。医院の収入は、1日当たりの患者数が1人増えることによって大きく異なってきます。また、医院の経営状況を安定させるためには、患者が継続的に来院することが重要であるといえます。ここからは、患者数と収入との関係、そして医院経営における理想的な患者数について詳しく解説します。

患者数と収入の関係

医院の1人当たりの診療費は、次の計算式で求められます。

1人あたりの診療費=診療費総額÷人数

診療科によって異なりますが、一般的に内科の平均診療単価は、「5,800円」程度です。例えば、1日当たりの患者数が1人増えることにより、週5日診療を行っている医院の収入がどのくらい増えるのかを算出すると、以下のようになります。

1人×5,800円×週5日×4週×12カ月=1,392,000円

1日当たりの患者数が1人増えるだけで、年間の収入に大きく影響してくることが分かります。そのため、医院の経営において集患が非常に重要であるといえるでしょう。

医院経営における理想的な患者

医院の経営という観点だけで見ると、1回だけ来院する患者や一時的に来院する患者ではなく、継続的に来院してくれる患者が「理想的な患者」であるといえます。

新規の患者を獲得するためには、ホームページを充実させたり、広告などの宣伝を行ったり、ある程度のコストをかける必要があります。対して、既存の患者に継続的に来院してもらうためには、適切な再診を促したり、体調が悪化したときに来院してもらうようにしたり、院内で対応できるケースが多いです。そのため、既存患者のリピート率を高める方が低コストで済むといえるでしょう。

日本医師会総合政策研究機構の「第5回日本の医療に関する意識調査」によると、約7割の人が「最初にかかりつけ医などの決まった医師を受診する」ことが分かっています。しかし、同調査によると、約5割の人がかかりつけ医を持っていないことも明らかになっています。そのため、「再受診の目安日をしっかりと患者に伝える」「コミュニケーションを図り、患者満足度を向上させる」「医院全体で患者目線を心掛ける」などといった対策が必要でしょう。継続的に来院してくれる患者が増えることにより、医院の経営も安定します。

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一般的な医院の1日の外来患者数

厚生労働省が2014年に公表した「医療施設調査」によると、診療科によって異なりますが、1日の平均外来患者数は、以下のようになっています(月23日計算)。

  • 内科:35
  • 整形外科:103
  • 小児科:43
  • 皮膚科:60
  • 耳鼻咽喉科:65
  • 精神科:35

このように、診療科によって平均外来患者数は大きく異なりますが、一般的な目安となるのは「40人」といわれています。仮に、医院の診療時間を午前診9時~12時、午後診15時~18時とした場合、患者が等間隔で来院するとすれば、1人当たりの診療時間は「10.5分」となります。この診療時間で、カルテの記載や検査結果の確認の時間も含めると、実際に医師が患者と向き合う時間は「5分程度」となるでしょう。

厚生労働省が実施した「受療行動調査」(2014年)において、診療時間が3分を切ると、患者満足度が顕著に低下することが分かっています。そのため、患者の話を聞き、患者が一定の満足を得られるという意味でも、1日の外来患者数の目安は40人といえるのです。

例えば、内科で1日の外来患者数が40人、月23日診療を行っているとしたときの開業医の年収は、以下のようになります。1人当たりの診療単価は、5,800円とします。

40人×5,800円×23日×12カ月=64,032,000円

売り上げは、約6,400万円と考えられ、スタッフが3人、家賃が年間500万円、その他の費用合計が約4,000万円かかるとすると、医師の年収は、約2,400万円となります。

こうした売上計画は開院前の「診療圏調査」や「事業計画書」の作成段階である程度シュミレーションすることができます。診療圏調査・事業計画書のの精度によってどのくらいの売上が見込めるのか、さらに来院を増やすための打ち手が何なのか検討が可能です。医院開業バンクでは、クリニック事業計画書の作り方「基礎編」と「応用編」の大ボリュームで解説した資料をこちらから無料でダウンロードすることができます。

事業計画書の作り方

開業後の医院経営に必要な患者数

厚生労働省が2019年に実施した「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)」によると、一般的な医院の1カ月当たりの人件費や医薬品費などの経費は、1年当たり約3,980万円かかることが分かっています。そのため、1日の外来患者数が40人で月に23日診療を行っている内科の場合、1年で約6,400万円の売り上げがあることから、経費を差し引いた約2,420万円が医師の年収となります。

開業エリアのリサーチ方法

厚生労働省の調査における開業医の平均年収は、医療法人の有床診療所の院長で3,466万円、無床診療所の院長で2,745万円となっていることから、1日の外来患者数が40人であれば、おおよそ平均収入に達するといえるでしょう。開業後の医院経営の指標となる患者数は、前述した「40人」を念頭に置いておく必要があるといえます。そのため、開業エリアの状況を予めリサーチしておくことが肝心です。

開業エリアのリサーチには、「JMAP」という、各都道府県医師会、郡市区医師会や会員が、自地域の医療提供体制について検討を行う際に使うシステムが最適です。大体の必要な情報が揃い、診療圏調査が行えるため、一度開業検討エリアの状況をJMAPを使って調べておくと良いでしょう。

参考:JMAP(地域医療情報システム)

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開業後に患者数が増えない原因と対策

開業後に患者数が増えない場合、医院の経営状況が悪化します。開業後に医院の患者数が増えない主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 開業した立地が良くない
  • 集患のための広告活動ができていない

医院の環境が整い、質の高い医療を提供できるにもかかわらず、開業した場所に競合が多い場合は、集患がうまくいかないケースもあります。また、ホームページやポスティングチラシなど、集患のためのさまざまなPR方法を有効活用していない場合、思ったように患者が増えないこともあります。

ここからは、それぞれの原因の詳細と対策方法について解説します。

開業した立地が良くない

医療機器を充実させ、質の高い医療を提供できる環境を整えていたとしても、開業した立地が良くない場合、患者数は増えません。例えば、駅からのアクセスが良い場所に医院があったとしても、競合が多いと患者が分散してしまい、思うように集患ができないでしょう。また、高齢者が医院のターゲットであるにもかかわらず、子育て世帯の多い場所に開業すると、来院する患者数は伸び悩むことになります。そのため、開業前に開業コンセプトに合った土地を選定することが重要です。

開業地の選定では、エリアの人口、人口構成、人の動き、交通機関の状況、競合となる医院の数などを事前にしっかりと把握し、分析しておくことが大切です。重要ポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 競合医院が少ない
  • 潜在患者が多い
  • 患者にとって利便性が高い
  • 駐車場スペースがある
  • 院外調剤の出店スペースがある

以上のような徹底した選定を開業前に行うことで、開業後に立地で困ることがなくなるでしょう。実際に医院を建ててから立地を変えることはなかなかできないため、事前に対策を講じることが非常に重要です。

集患のための広告活動ができていない

どんなに好立地に医院を建てたとしても、集患のための広告活動ができていなかったり、それが効率的に集患につながっていなかったりする場合、開業後の患者数は増えないケースがあります。集患については、インターネットと紙媒体の両方を活用し、効率良く行う必要があるでしょう。

現在、インターネットが広く普及しているため、まずは医院のホームページを充実させることが大切です。患者が得たいと思う情報については、全て記載するようにしましょう。また、院長のブログなどを継続的に更新していくことで、患者にとってより身近な医院だと感じてもらえるかもしれません。

最近では、若者から高齢者までの幅広い世代がスマートフォンを利用しています。そのため、医院のホームページをスマートフォン端末のサイズ表示にできる「レスポンシブデザイン」を採用すると良いでしょう。

Googleなどの検索エンジンで医院のホームページが上位表示されるように、SEO対策も行う必要があるでしょう。さらには、医院のホームページに患者を誘導するように、Web広告を出すのも効果的です。

紙媒体では、近隣地域へのポスティングチラシや新聞の折り込み広告といった方法があります。住宅地などに医院が建っている場合には、非常に有効な集患方法となるでしょう。

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開業後に必要な患者数のまとめ

医院の経営における来院患者数は、重要な指標となります。医院を経営すると、さまざまな経費がかかることから、開業医が平均的な年収を得るためには、1日当たり40人の来院患者数を目指す必要があります。

この患者数に到達するためには、既存患者を大切にし、いかに継続的に来院してもらうかといったことが重要なポイントであるといえます。また、開業の段階でコンセプトに合った開業地の選定を行い、集患のための効率的な広告活動を実施する必要があるでしょう。

ぜひ、患者に来院してもらえる医院づくりの参考にしてください。またコンサルタントをお探しの場合は、ぜひ医院開業バンクをご利用ください。医院開業後もコンサルタントがお力になります。

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株式会社日本メディカルキャリア ライフ支援事業部

福松 洋祐

医師人生の集大成とも言える「クリニック開業」という機会に多く携わって参りました。今後開業を検討される先生方に少しでも多くの選択肢をお示しできるようご支援いたします。

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