M&A仲介の現場から見る クリニック承継における重要な注意点とは | 医院開業バンク

コラム

2026.01.22

M&A仲介の現場から見る クリニック承継における重要な注意点とは

クリニック承継は、医師の開業手段として年々有力な選択肢の一つになりつつあります。

一方で、実際の承継の現場では「事前に確認していれば防げたはずのリスク」によって、承継後に経営が不安定になるケースも少なくありません。

ここでは、実際に承継を進める上で特に注意が必要となるポイントを整理して解説いたします。

表面的な収益に惑わされない財務分析

承継を検討される側で最も多い誤解が、「数字が出ている=安全な案件である」という認識です。 売上や利益が安定していても、その多くが前院長の診療時間や、院長個人の信頼に強く依存している場合や、承継後の再現性は決して高くありません。

承継にあたっては、診療体制や稼働医師数、患者様の定着度まで踏み込んだ分析が不可欠であり、単年度の数字だけで判断することは避けるべきです。

また一方で、売上や利益が減少傾向だからといって、一概に検討対象から外してしまうこともリスクとなります。

減少の理由が「営業日の短縮」などによるものであれば、承継後の体制次第で十分に立て直しができる可能性があるためです。

スタッフの引き継ぎは最大のリスク要因

既存クリニックの承継では、医療機器や内装の老朽化が見落とされがちです。

承継を検討する段階で、その後1年から3年以内に必要となる更新投資をあらかじめ洗い出し、それらを「実質的な取得コスト」として評価しておく必要があります。

譲渡価額だけを見て判断してしまうと、承継後の想定外の資金流出により、キャッシュフローが圧迫される恐れがあります。

物件条件は長期経営を左右する

たとえ立地が良好であっても、賃貸借契約の内容次第では長期的な経営に制約が生じます。

賃料改定の条項や契約更新の可否、用途制限などは、仲介の段階で必ず精査すべき項目です。

これらを確認せずに承継を進めた結果、数年後に立ち退きや移転を余儀なくされるケースも実際に存在するため、注意が必要です。

簿外リスクを確認する

医療法人ごと承継(持分譲渡など)を行う場合は、過去の労務トラブルや税務トラブルなどの責任も包括して引き継ぐことになります。

そのため、承継を実行する前には必ず専門家による**デューデリジェンス(買収監査)を行いましょう。

また、譲渡契約書においては、売り手側の「表明保証」の項目を適切に設定し、リスクを回避する手立てを講じることが重要です。

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クリニック承継は、適切な仲介と十分な事前検証があってこそ成功するものです。一見して条件が良さそうに見える案件ほど慎重に精査し、第三者の専門的な視点を活用することが、安定したスタートを切るための鍵となります。

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医院開業バンク編集部

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