医者の開業資金・自己資金はいくら必要?|資金調達に失敗しないためのポイントを解説 | 医院開業バンク

コラム

2021.06.22

医者の開業資金・自己資金はいくら必要?|資金調達に失敗しないためのポイントを解説

クリニックの開業で最も気になる「お金」の問題。そもそもいくらかかるのか?運転資金は何ヶ月分必要?自己資金は多い方がいいの?などなど、たくさんの質問をいただくところです。開業資金や運転資金、自己資金に目安はあるものの、それはあくまで目安の金額。最終的にはクリニックごとに、事業計画ごとにその金額は大きく変わってきます。

だからこそ「事業計画」の役割は重要です。当社ではクリニックのコンセプトづくりから事業計画の作成まで、専任のコンサルタントが丁寧にお手伝いいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

無料で相談する

クリニック開業にはいくら必要なの?

開業医として独立をしたいけれど、どのようなお金がかかるのかわからなくて不安で独立に踏み出せないという方はいませんか?この記事では、クリニックを開業するためにはいくら必要なのか?自己資金はいくら用意したらよいのか?もし自己資金が足りない場合の対策について解説しています。

【参考記事】クリニックの事業計画の作り方│目的、必要なタイミング、メリット、項目、作成手順、フォーマットまで
【参考記事】開業後に必要な患者数はどのくらい?医院経営の成功を左右する来院患者数について解説!

医院の開業に必要な資金

医院の開業に必要な資金には、新規開業時にかかるテナントで入居する場合の一時金、医療機器の購入費用といった初期費用。そして、医院を経営していく中で発生する、テナントの家賃、水道光熱費などの運転費用があります。

  • 初期費用:(テナント入居の一時金、建物・土地代金、医療機器購入費用など)
  • 運転費用:(テナントの家賃、人件費、水道光熱費、リース料)

医院の開業に必要な資金は、診療科目ごとに必要となる医療機器や面積が全く異なるため、一概に明記することができません。また、医師の開業コンセプトによっても導入する設備が異なります。

医院の開業資金について考える際に最も大切なのは、相場がいくらなのかを知って無理のない返済計画を作成することです。

開業資金

開業時にかかる主な初期費用の相場を以下のようにまとめてみました。

費用項目

費用相場

内容

内装造作費

2,400万円

院内の床、壁、天井の組立てや装飾、照明、空調など

医療機器

下記参照

電子カルテ、一般撮影装置、超音波診断装置、内視鏡、心電計など

什器備品

200万円

待合ソファ、診察机や椅子、休憩室用机や椅子、電話設備、レジスター、タイムカード等

土地・建物費用

下記参照

賃貸・分譲か、診療科目により必要面積が異なる

医師会
入会金

200万円

医師会に入会する場合に必要

広告宣伝費

300万円

チラシ、リーフレット、ホームページ、看板など

消耗品
予備費

200万円

開業時の診察券等印刷物、筆記用具等の事務用品、医薬品など

医療機器に関しては、診療科目ごとに差があります。また、土地、建物代は新規開業する際に物件を購入するか、賃貸で利用するかによって大きく異なります。

【診療科目別】必要面積・土地代費用リスト

新規開業のために物件を購入した場合の土地建物費用の目安を、診療科目別に紹介します。

■分譲の場合

診療科目

必要面積の目安

土地建物の費用目安

内科

35~50

3,000万円~

小児科

30~40

2,500万円~

整形外科

55~70

4,000万円~

耳鼻科

30~40

2,500万円~

皮膚科

30~40

2,500万円~

眼科

30~40

2,500万円~

脳神経外科

60〜65

6,000万円〜

また、以下は賃貸で利用する場合の費用相場です。

■賃貸の場合

費用項目

費用相場

内容

敷金
保証金

240万円

月額賃料の612ヶ月程度

礼金
仲介手数料

80万円

それぞれ月額賃料の1ヶ月程度

(礼金は23ヶ月のケースもあり)

前家賃

80万円

開業前までに発生する家賃(2ヶ月分程度)

ここで紹介している費用はあくまで目安で、導入する医療機器やクリニックの開業コンセプトで大きく異なります。例えば脳神経外科の場合、MRI設置だけでも50坪は必要、またリハビリ室やCTも導入するなら65坪は必要です。そのため広い施設が必要となり、物件価格も高めになります。

【診療科目別】医療機器費用リスト

診療科目別に医療機器費用総額の目安と、代表的な医療機器名称をご紹介します。

診療科目

医療機器費用相場

医療機器

内科

2000万〜

一般撮影装置、CR/PACS装置(モニタ2台構成)

小児科

1100万〜

血球計数CRP測定装置、滅菌器

整形外科        

3000万〜

骨密度測定装置(DXA)、リハビリ機器

耳鼻咽喉科

1600万〜

電動椅子、オージオメータ/聴力検査室

皮膚科

1400万〜

CO2レーザー装置、Qスイッチレーザー装置

眼科

1800万〜

眼圧カメラ、眼圧計

脳神経外科

11000万〜

MRI、CT装置

上記の医療機器の価格はあくまで目安で、新たに導入したい機器や、開業コンセプトによって費用は大きく異なります。

例えば、脳神経外科医の場合MRI1台当たりの費用は約6,0007,500万円と高額なため、導入する、しないでは大きく費用は異なります。

運用資金

運転資金

3,500万円

医院が軌道に乗る前で売り上げが少ない時期に、人件費や家賃等の固定費を支払うための資金

運転資金の目安は約3,500万円程度ですが、毎月のクリニックの収入や規模によっても異なります。

一般的には、医院開業から診療報酬が入金されるまでに約23ヶ月かかることから、用意しておくべき運転資金は23ヶ月分必要とされています。

しかし、クリニックを開業してから軌道に乗るペースが遅れると1年以上かかるケースもあるようです。出来れば、毎月の経費+生活費の12ヶ月分ほどを運転資金として確保しておきたいところです。

毎月の経費300万円、生活費100万円であれば、300万円+100万円=400万円。万が一軌道に乗り遅れてしまった時に備えて、12ヶ月分で4,800万円の運転資金を確保しておくことも検討しておきましょう。

開業コンサルタントに相談する

医者の開業に必要な自己資金はいくら?

クリニックの開業に向けて、自己資金は開業資金+運転資金総額の2割程度は用意しておきたいところです。

しかし、医院開業向けの融資は金利が低いものもあるため資金調達はしやすい環境になっています。

また、自己資金の準備が少なくても、開業できないわけではありません。ただし、融資額が大きくなるので毎月の返済額が大きくなってしまう点には注意しておきましょう。

医者の資金調達の方法

医者の資金調達には、日本政策金融公庫を使う方法や、独立行政法人を使う方法の他、メガバンクや地方銀行、信用金庫の一部では開業医専用のローンとして開業医ローンを取り扱っています。

また、ローンではありませんがリースを利用して、大きな資金が手元になくても設備を導入することは可能です。

それぞれの概要について解説します。

■日本政策金融公庫
政府が100%株式を常時保有する政府系金融機関です。金利で収益を得ることを目的としていないため、低い金利で新規事業をサポートします。最大融資額は4,800~7,200万円、融資期間は5~20年。

※参考:日本政策金融公庫ホームページ

■独立行政法人福祉医療機構
厚生労働省所管の独立行政法人。社会福祉事業施設や、診療所などの設置に対して必要な資金の融資、助成などを行っています。診療所の建物建設資金は最大5億円、土地取得資金は最大3億円。返済期間は最長で20年。機械購入資金上限は2,500~7,500万円(一部条件あり)。返済期間は5年以内。長期運転資金融資は上限4,000万円、返済期間は7年以内となっています。

※参考:独立行政法人福祉医療機構ホームページ

■民間金融機関
メガバンクや地方銀行、信用組合などで開業医ローンとして融資を受け付けています。
【メガバンク例】借入金額最大5,000万円、融資期間最長10年、担保・保証人は不要
【地方銀行例】借入金額最大1億円、融資期間最長10年、個人の場合は担保・保証人は原則不要
【信用組合例】借入金額最大2億、融資期間最長35年、保証人要。地元の医師会に入会予定、または入会済であることが要件

■リース会社
医療機器をリース会社が購入、それらの機器を必要としているクリニックに貸し出します。設備を提供されたクリニックは、毎月リース料をリース会社に支払うという仕組みです。ローンとは少し異なりますが医療機器など高額な設備をすぐに購入できなくても、分割払いで利用できるメリットがあります。

資金調達に失敗しないためのポイント

開業資金の融資を受けるためには、内装や医療機器の金額、毎月の固定費や診療報酬の金額をもとに事業計画を作り、審査を受ける必要があります。仮に、提出する事業計画書が間違いだらけや矛盾だらけだったら、融資する立場からすると、事業計画書の通りになる可能性は少ないので融資は控えようと思うのではないでしょうか?

事業計画書は、綿密に練られた計画書であるほど許可が降りやすく、借入金額にも影響します。

そのため、事業計画書の作成は資金調達に直結する重要な作業です。もし、自分で作成をすることが難しい場合は、開業コンサルタントに相談してはいかがでしょうか?開業コンサルタント知識や経験、料金体系なども異なるので、しっかり比較をして選びましょう。医院開業バンクでは専門家を検索・比較をすることができます。

まとめ

医師がクリニックを新規開業するためには開業資金が必要で、開業当初にかかる建物、土地、医療機器の購入代金といった初期費用と、経営していく過程で発生する家賃や人件費、水道光熱費などの運転費用を用意しておく必要があります。開業資金や運転資金は、目安といわれている金額はありますが、大切なのは、自身の開業コンセプトをベースに無理のない返済計画を立てることです。

また、自己資金はなくても開業資金の融資を受ける方法は複数あります。しかし、融資を受けるためには、緻密な事業計画書の策定が必須です。有利な融資を受けるためにも、事業計画書作成はプロに相談をすることがおすすめです。

医院開業バンクなら、専門家を検索して、相談することができます。

医院開業バンクへの無料個別相談

医院開業バンク編集部

編集部

医師の転職・採用支援に20年以上携わる医院開業バンク編集部が、開業に役立つ情報をお届けします。

一覧に戻る